トップページへ仙台藩最後のお姫さまみちのくの文学風土
みちのくの和歌、遥かなりみちのくの指導者、凛たり武将歌人、伊達政宗
 
22世紀を牽引する叡智の杜づくりーその3−
2004年4月6日


  
1 「きらめく叡智と美のしずく展」の開催

 この文化財の指定に合わせながら「きらめく叡智と美のしずく展」をシリーズで開催している。多くの人たちに貴重資料の素晴らしさを紹介し、宮城の歴史や文化について理解を得るように努めていくこととしている。「きらめく叡智と美のしずく展・パート1」は、本館展示室を会場に2ヶ月にわたり開催し知事にも見てもらった。この期間中図書館職員による6回の特別講座を開いた。
 第2回目の「きらめく叡智と美のしずく展」は、県東北歴史博物館と連携して開催した。同一テーマで、図書館と東北歴史博物館の2カ所を会場に役割を分担しての共同開催である。宮城県では初めての画期的な試みである。今後ともテーマを設けて「きらめく叡智と美のしずく展」を開催していくこととしている。
またこれに合わせて展示会の期間中、司書等を講師に開放講座を設けていくこととしている。司書にとっては長年の研究の成果発表の場であり、研鑽の場でもある。司書の活動の領域を広げ、外へ向けた積極的な活動を展開する第一歩でもある。

2 黎明の時代を代表する貴重図書ー1

 1 月に指定された9件の概要について紹介する。『貞観政要』は、「貞観の治」として名高い唐の太宗の四半世紀にわたる治世の実践記録で、1600年(慶長5)伏見で出版され官版刊行の先駆けとなったものである。平和な時代の到来は、質の高い芸術・文化を求める機運も醸成した。
『光悦謡本一百番』は、慶長期に観世流の能や謡の人気曲を100番選び、それを木活字で印刷して1曲1冊に仕立て、100 冊を一揃えの形としたものである。
人々の好奇の目は、天体や和算にも向けられた。仙台藩の天文学者戸板保佑編の『関算四伝書』474冊は、方程式論・行列式論などを創始した関孝和以降に著述されたすべての関流算書を集大成したものである。
 日本における本草学の精華ともいうべき鳥類図鑑、魚類図鑑も誕生した。仙台藩六代藩主宗村の八男で堅田・佐野藩主堀田正敦編の『禽譜』と『観文禽譜』、栗本丹洲や諸大名所蔵の魚類図譜類を転写した『魚虫譜』である。
 限りない人々の好奇の目は更に洋学へと向けられた。『生計纂要』は、幕命によって大槻玄沢等が35年間の歳月を費やし翻訳した、ショメールの百科事典の草稿である。江戸時代も後半にはいると風雲急を告げたのが北方問題である。
『三航蝦夷日誌』(稿本)は、北方探検家松浦武四郎が、蝦夷地、樺太、国後、択捉を単身で探検し、その記録を詳細な日誌としてまとめたものである。幕末から明治にかけて日本を巡る国際情勢が緊迫の度を加え、北方領域の経営が緊急の国家的な課題となる中で果たした歴史的役割は大きく、また当時の北海道の風土を知る上の貴重な資料である。