トップページへ仙台藩最後のお姫さまみちのくの文学風土
みちのくの和歌、遥かなりみちのくの指導者、凛たり武将歌人、伊達政宗
 
登米物語と芳賀邸の公開
2007年4月28日


 
  
はじめに   ふるさとの春日の丘のかたくりの群れ咲く頃の懐かしきかな   石川啄木  春爛漫の季節を迎えました。雪解け水が大地を潤し生きとし生けるものに新しい命の息吹を与え、森羅万象躍動する季節でもあります。  登米地方が最も光り輝くこの季節、『登米物語』発刊および「芳賀邸」のお披露目が多くの皆様のご出席のもとに行われましたこと、心からお祝いを申し上げます。  私も幼いときから芳賀邸をお伺いする都度おとぎの国の建物を見るような不思議な気持ちを抱きながら、石畳を進んだものであります。多くの皆様がそんな気持ちではなかったでしょうか。この度、ご生家を修復され一般に公開されたご英断に改めて敬意を表するものです。これに合わせ素敵な冊子も出来上がりました。この『登米物語』は、美しい装丁と充実した内容の仕上がりです。  この本は、二本の糸が美しく織りなす多彩な物語がたくさん綴られています。縦糸はみちのくの歴史と文化の源流からいまの登米にいたるまでの壮大な歴史絵巻です。横糸は時を超えて各時代の息吹をいまに伝える、有形・無形の登米の文化財や物産を結んだ歴史ロマン回廊です。登米に住む人も訪れる人も、それぞれの回廊を旅しながら登米の多彩な歴史や文化、物産そして人情に触れることができるのではないでしょうか。この歴史ロマン回廊は、ここに住む人も訪れる人も自分の好みに応じて組み立て、旅の醍醐味を存分にお楽しみいただけるものと期待しています。  著者の芳賀明夫さんは登米で生まれ育ち、仙台第一高等学校を経て東京外国語大学で学ばれ、講談社に入られたくさんの出版物を手がけられた編集のプロであり、ご自身も瀬戸内寂聴さんや俵万智さんとの共著など多数の本をご出版されているプロ作家でもあります。芳賀さんの一途な故郷への思いが脈々とこの本から伝わってくるようです。  素敵な絵を添えられた大澤和泉さんは、いま国内で最も注目されている新進の画家です。フレッシュな感性と筆さばきで描かれた絵をご覧になれば、実力のほどをお分かりいただけるのではないでしょうか。  登米町を訪れ、登米を語る人は多いですが、総合的に分かりやすく書いた本は皆無でした。この本は多くの人たちに新鮮な衝撃を与え、登米を訪れてみたいと思わせるそんな魅力を秘めています。熱い思いで書かれたこの本が多くの人たちを魅了するのではないでしょうか。登米町を訪れる人たちにとっては登米町の魅力を十分知ってもらえる本となること、登米に住む人たちにとっては故郷の素晴らしさを再認識する本となることを期待申し上げております。