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みちのくの和歌、遥かなりみちのくの指導者、凛たり武将歌人、伊達政宗
 
『伊達八百年の歴史絵巻』の原稿送付
2007年7月27日


 


『伊達八百年の歴史絵巻』(仮称)の出版について

 『伊達八百年の歴史絵巻ー人、夢、学の物語ー』(仮称)を出版すべく、今日新人物往来舎の足助明彦氏に原稿を送った。装丁・写真などはこれから相談して決めていくことになる。原稿は1年前に出来ていたが、納得いくまで手直しをした。いつかは出版しようと考えていた本である。
 伊達家は、九州の島津家とともに、鎌倉御家人、守護職、戦国大名を経て近世大名に至った数少ない家であり、鎌倉、室町、戦国、江戸、幕末、維新、戦後の激動の時代を経てこんにちに至っている。
 今年は、仙台藩祖政宗生誕四百四十年の節目の年でもあり、この機会に『伊達八百年の歴史絵巻』として取りまとめてみた。その時代、時代を多くの危機や困難に直面しながらも、その時代を生きた人たちの、勇気と叡智そして犠牲の上に重い歴史を刻んできた。生まれながらにして人の上に立つ運命を背負わされているというのは、並大抵のことではなかったろう。自分の力のなさや打ち明けられない思いを和歌に託した藩主や夫人もいた。ただひとつ共通して言えることは、「私」の前に「公」があることを、今の自分よりさらに高められた自分にせねばならぬことをしっかりと心得ていたことである。能力の如何にかかわらず常に相手の話に耳を傾け、それを真摯に受け止め、是々非々で判断し決断することが求められていたし、心がけてもいた。
 伊達八百年の歴史は、伊達家に生まれ育った者だけではなく多くの人々によって彩りが添えられ、また重厚さも加えられてきた。
 いま私たちを取り巻く環境は大変殺伐としまた閉塞感も漂っている。こういう時代だからこそ先人がいかにして新しい時代を切り開いてきたかをしっかりと知ることが大切である。日本は、いろいろな意味で大きな岐路に立たされている。そして私たちには、日本人としての誇りや自覚、他への思いやり、新しい時代を逞しく築き上げていく積極性と勇気が求められている。
 困難を克服しながら新しい時代を切り開いていった先人の生き方から何かをお感じいただければとの思いから、出版に踏み切った。12月頃まで出版できればと考えている。
 内容は、次の通りである。
  伊達八百年歴史絵巻ー人、夢、学の物語ー
 はじめに
第一章 伊達の物語
 一 仙台藩政概略史
 二 北と南の伊達藩
 三 宮 城県図書館資料でたどる伊達文化の精華
第二章 お姫さまの物語
 一 義姫、母子の絆
 二 愛姫、政宗が敬愛した妻
 三 阿梅、数奇な運命をたどった真田幸村の娘
 四 香の前、秀吉から奪った寵姫
 五 五郎八姫、政略の犠牲にした政宗の慚愧
 六 方子、松江と仙台を結んだ林子平の姪
 七 惇子、非常時を乗り切った近衛の娘
 八 孝子、凛 と生きた烈公の娘
 九 保子、海を渡った最後のお姫さま
第三章 殿さまの物語
 一 七世行朝・八世宗遠、南朝の忠臣
 二 九世政宗、独眼竜のモデル
 三 十六輝宗、盤石な基盤を遺す
 四 十七世政宗、仙台藩祖となった武将歌人
 五 四代綱村、香り高い文化の礎を築く
 六 五代吉村、中興の英主
 七 七代重村、飢饉にめげず学問を奨励
 八 掘田正敦、世界に冠たる鳥類図鑑を編纂
 九 伊達宗城、黎明の時代を牽引
第四章 異国に馳せた夢物語
 一 支倉常長、ローマに馳せた夢
 二 津太夫、初めて世界一周した日本人
 三 玉虫佐太夫、知的な日本人の日米比較
 四 及川甚三郎、密航 船で海を渡る
 五 安田恭輔、エスキモーのモーゼ
第五章 きらめく人の物語
 一 工藤平助・林子平・高野長英、近代化への警鐘
 二 戸板保助、世 界的な天文学者・和算家
 三 芦東山、人間愛に立脚『無刑録』十八巻を著す
 四 只野真葛、女性解放の先覚者
 五 大槻玄沢とその一族、華麗な学者の系譜
 六 大槻文彦、国語辞書『言海』を編纂
 七 斎藤 秀三郎、和英・英和辞典を編纂
 八 政済界の巨人、高橋是清・斎藤実・後藤新平・富田鉄之助
 九 きらめく人材を輩出
 あとがき