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みちのくの和歌、遥かなりみちのくの指導者、凛たり武将歌人、伊達政宗
 
私の養蜂日記ーパート3
2012年11月29日


 

神秘的ななミツバチの世界


私が手に入れたミツバチは西洋ミツバチである。日本固有のミツバチは飼い方が難しく、養蜂家の大半は西洋ミツバチを飼っている。歴史は古い。何万年も前のヨーロッパの岩窟の壁画に描かれた絵には、岩山に梯子をかけハチの巣を取っている絵なども描かれている。 ミツバチは古くから人間と共に歩んできたのだ。
 アレクサンドル大王が遠征先で死去したとき、遺体はハチミツに漬けられ故国へ送られたといわれる。防腐効果は広く知られていたのだろう。人間が初めて酒を知ったのはハチミツの酒だろうといわれている。 古い物語にはよくハチミツが登場してくる。ハチミツを入れた壺などに水が入ると発酵し酒になる。
 古代ローマの新婦の大切な仕事の一つは、夫が何時までも元気に働いて欲しいという祈りを込め、ハチミツの酒を造ったといわれている。ハネムーン(蜜月)はその名残なのだ。古代エジプトの王をはじめとする権力者は、ミツバチの世界を憧れていた。女王バチを中心としたミツバチの整然とした生活の様子は、神秘的であり憧れの対象でもあったのだ。 紋章などにも多数用いられている。
 ミツバチの世界は、女王バチを中心に雄バチ、働きバチに大別される。 数万匹の働きバチは同じメスになる卵から生まれながら、卵巣が発達せず、労働に明け暮れて一ヶ月の短い寿命を終える。女王になるか働きバチになるかの運命を決める鍵は幼虫時代の餌の質的な違いにある。女王バチは王台という特別室に産み付けられた一個の卵に働きバチがせっせと餌を与える。この餌が ロイヤルゼリーである。
 働きバチが花粉や蜂蜜を食べ、体内で分解・合成し、上顎と下顎の咽頭腺や大腮腺( だいさいせん)から分泌する物質である。女王バチとなる幼虫や、成虫となった女王バチの大切な餌である。ミツバチは、卵の段階では、働きバチも女王バチも同じメスであるが孵化してから3日目まで、ローヤルゼリーより栄養価の低いワーカーゼリーを食べ、4日目以降、ハチミツと花粉を食べるメス蜂は働きバチとなる。一方、女王バチとなるメスバチは孵化してから生涯にわたりローヤルゼリーを食べ続ける。女王バチの生涯において唯一のエネルギー源でもある。
 女王バチは最盛期には毎日に2〜3千個の卵をオスとメスのバランスをとりながら産み分ける。休む暇がない。巣箱の女王バチを観察していると忙しく巣の中を動きながら卵を産んでいる女王バチに、何時もせっせと働きバチが餌を与え続けているが、この餌がロイヤルゼリーである。
 ローヤルゼリーは、「タンパク質」「炭水化物」「脂質」をはじめ、人の健康に不可欠な「必須アミノ酸」をはじめ、各種ビタミン・ミネラルなど40種類以上もの栄養素がバランス良く豊富に含まれている。考えれば考えるほど、ミツバチの世界には神秘を感じる。