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みちのくの和歌、遥かなりみちのくの指導者、凛たり武将歌人、伊達政宗
 
私の養蜂日記ーパート4
2012年12月9日


 

初めての収穫
 ミツバチは順調に増え続け箱全体のスヒが9枚になった頃、先生が様子を見に来てくれた。そしてその中からたくさんの卵が産みつけられたスヒ4枚を隔王板で隔て重ねた継箱に移してくれた。下段にはスソ4枚を入れた。ミツバチはこれを卵を産んだりハチミツをためたりできるように六角形の小さな巣を作りながら1枚のスヒに仕上げていくのだ。自分たちで蝋を作り仕上げていくのだ。先生の話によると1枚のスソをスヒに仕上げるのにおよそ1升のハチミツが必要とのことである。
  隔王板は下段にいる女王バチが2段目に上って卵を産み付けないようにするために使用するのだ。女王バチより体の小さい働きバチは、1段目と2段目を自由に行き来できるが、女王バチはそれができないので2段目のスヒには卵を産み付けられないのだ。1段目から2段目に移したスヒが9枚になった。2段目のスヒに産み付けられた卵がかえると、その部分は空になる。ミツバチはその空になった巣穴にハチミツをため始める。どんどんと卵は孵化し空になった一つ一つの巣穴に蜜が貯められていく。   しばらくして先生が来られ、巣箱の状態を見てくれた。そして「今日絞ってみるか」と言って2段目にあるスヒ5枚を取り出した。ほかの4枚にはまだ孵化しない卵が残っている。燻煙器でミツバチを朦朧状態にしたあと、ブラッシで手際よく働きバチを巣箱の中に払ってくれた。少し離れた縁側に備え付けられたステンレス製の分離機に2枚のスヒを入れ回しはじめた。回転につれスヒの中のハチミツが勢いよく外へ飛び出した。スヒの外側の部分のハチミツが飛び出したのを見届け、そのスヒを裏返しにした。反対側のミツを絞るためだ。
 先生の話によると1枚のスヒから5合ぐらいのハチミツが採れるとのことである。分離機にたまったハチミツが分離機の出口の穴からあふれ出してきた。出口の下にはミツコシ器が置かれ、それを通してボールにハチミツがしたたり落ち、たちまち一杯になった。
  初めて見る家族は、感嘆の表情で眺めていた。この日は5枚のスヒだけだったので、4000ミリリットルしか収穫できなかったが、40年ぶりに私の家の伝統文化が復活したのだ。家族にとっては大自然の恵みをこうしたかたちで受けることは何にも代えがたい新鮮な感動であったろう。日常生活にはハレとケが必要であるが、加えて日々の生活にはロマンも必要だ。考えただけでも楽しくなるのではないか。