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みちのくの和歌、遥かなりみちのくの指導者、凛たり武将歌人、伊達政宗
 
四季彩彩−登米地域讃歌− 峠・名刹・鎮守の森回廊
2003年2月8日


  遠く寒山に上れば石径斜なり
  白雲生じるところに人家あり
  車を停めてそぞろた愛す楓林の晩
  霜葉は二月の花よりも紅なり(山行  杜甫)

 峠や山里そして鎮守の森や古木は、人々の心を和ませ、また先人の在りし日を思い出させるものです。疲れたとき、あるいは心に重い何かがあるとき、これらの場所を散策し、しばしの時を無心に過ごすと心洗われ、転生を得ることも多いのではないでしょうか。

 豊穣大地・登米は北上山地によって太平洋と隔てられています。水界峠(東和町)、羽沢峠(登米町)を越えるとすぐに本吉郡志津川町です。この峠を越えて人々は行き交ったのです。浜の人は海の幸を里にもたらし、里の人々は山の幸や米をはじめとする農産物を浜に送ったのです。峠ひとつ隔てて向こうは別世界であり、峠の向こうにはロマンがありました。里の人々は峠の向こうに限りないロマンを抱きながら北上の山並みを眺め暮らしてきたのです。

 敬愛する師の失明した目の回復を願い生徒が交代で師の手を取って参拝し、奇跡的に開明したという麗しい物話を伝える若草神社(東和町)、原田甲斐が眠り名庭で知られる東陽寺(東和町)、鱒渕観音堂や鎮守の森の荘厳な風情を持つ華足寺(東和町)、義経伝説と紗那桜で知られる長谷寺(中田町)、木造弥勒如来座像と大祭で知られる弥勒寺(中田町)、安倍貞任・宗任を追討した源義家創建の上沼八幡神社(中田町)、山門とカマ神で知られる香林寺(豊里町)、奥州森邑十三講秋祭りで知られる上行寺(迫町)、六角堂や風情ある環境を備えた大嶽山興福寺(南方町)、金鶏山としだれ桜そして堂々たる正殿と山門で知られる昌学寺(石越町)、薪能と登米噺しの雅な秋祭りで知られる登米八幡神社(登米町)など、風情のある寺院がたくさんあります。

 巨木は悠久の時によって育まれた樹齢何百年という壮大なスケールと驚異的な生命力を持ち、人々の生活を見守り続けてきました。また、古くから信仰の対象となり、地域のシンボルとして人々に潤いと安らぎを与えてきました。
 杉の巨木は、中田町上沼八幡神社・保昌寺、東和町米川綱木八幡神社・華足寺、迫町滝不動尊・駒林駒形神社などで見られます。イチョウの古木は、東和町米谷東陽寺・米川華足寺・大慈寺、迫町上行寺・鉄砲丁八幡神社・津島長照寺。ケヤキは迫町西表。クリの大木は登米町日根牛。おんこ(イチイ)は東和町東昌寺、中田町宝江赤城神社。カツラは登米町八幡神社、松は豊里町笑沢で見られます。

  昔たれ深き心のねざしにてこの神が
     きの花を植ゑけん(伊達政宗)